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会社員からフリーランスになる場合に考えておくべきこと② 車の購入
佐藤@練馬: この相談者の方は、いずれ車を購入したいと考えておられるようですが、会社員とフリーランスで、車の購入についての考え方の違いについてはいかがでしょうか。
伯耆原@群馬: 会社員の場合、300万円の車を買うというのはそのまま出費になるのですが、フリーランス、個人事業主だと事業に関わるものであれば色々なものが経費として認められます。
会社員の場合ですと、所得控除という形で最初から経費の部分が一定額として決まっているのですが、個人事業主の場合ですと、事業のために使ったお金は経費となり、実際の収入から経費を差し引いた金額が「所得」となり、この金額に対して税金の額が決まります。
健康保険とか年金保険料というのは上限が決まってますが、税金というのは金額に応じてどんどん上がっていきますし、それだけでなく税率も上がるので、この税金を如何にして抑えるのかということを考えておく必要があります。
車の場合、一括で経費とするわけにはいきませんので、何年かに分けて経費として計上するということになります。
会社員からフリーランスになる場合に考えておくべきこと③ 生命保険
佐藤@練馬:保険についてはどうでしょうか?相談者の方は今何も入っておられないようですが・・・
小林@福井:独身ということであれば、死亡保障は今すぐにはいらないと思います。将来結婚したり子どもが出来たりした時に都度保障を考えればいいと思います。
会社員とフリーランスの違いで大きいのは、まずフリーランスには雇用保険がありません。この点については貯金で備えるということと、がんばって仕事しましょうとしか言いようがないですね。
あと、会社員だと病気やケガで働けなくなった時に、健康保険から「傷病手当金」というものが支給され、月収の3分の2は保障されるのですが、フリーランスが加入する国民健康保険にはこの仕組みがありません。「傷病手当金」は1年6カ月支給され、その後は年金制度の障害年金に移行するわけですが、こちらのほうもサラリーマンの厚生年金と国民年金とでは差があります。
傷病手当金;https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat710/sb3160/sb3170/sbb31710/1950-271/
障害年金:https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/jukyu-yoken/20150401-01.html
何でもかんでも貯金だけで備えるのは厳しいと思いますので、こういった部分についてはある程度は保険で備えておいたほうがいいと思います。「就業不能保険」というものがあり、働けなくなった場合の収入の低下を補うことができます。
あと、働けなくなるのに近い状態として考えられるのが「がん」です。今は抗がん剤を服用しながら働いている人も少なくないのですが、収入に影響が無いわけではないので、治療費くらいは保険でまかなうべきです。
この二つへの備え・・例えばですが、病気ケガで働けなくなった場合月10万円される就業不能保険で65歳満期のものと、一般的ながん保険、この2つに加入しても29歳でしたら保険料は、ある保険会社のサイトで試算したら月5,000円弱なので、これくらいは入っておくべきだと思います。
会社員からフリーランスになる場合に考えておくべきこと④ 住宅
佐藤@練馬:この方は3年後に広い部屋への引っ越しを考えておられるということなのですが、それについてアドバイスはございますでしょうか。
細井@吉祥寺: 住宅というくくりで考えると、住宅購入か賃貸かということになりますが、前者の場合ですと住宅ローンの審査というものを念頭に置いておいたほうがいいと思います。会社員と比べると個人事業主だとローンの審査が厳しくなります。
あと、賃貸に住むにせよ、家計の中に占める住居費というのは結構大きな割合を占めるので、これが大きくなり過ぎないように気をつけたほうがいいと思います。
会社員からフリーランスになる場合に考えておくべきこと⑤資産運用
佐藤@練馬:資産運用ということで私から話をさせていただきます。この方、つみたてNISAを上限額いっぱいまで活用されるというお考えのようで、そうなると月額33,000円をつみたてNISAに回すということになります。ただ、事業開始の頃は色々なことがありますので、現金での備えを多めにしておくか、つみたてNISAは当初は低めの額で備えておいたほうがいいと思います。
また、つみたてNISAは最大20年なので、この方も50歳ごろに現金化して現金が多くなるというグラフになていますが、人生100年時代ですので、その後の運用というのも考えておくべきだと思います。今すぐではないにせよ。
■つみたてNISAの概要
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/overview/index.html
お金では測れない資産もある
佐藤@練馬:では、ここからはフリーディスカッションとしたいのですが。。
小林@福井:今までは支出面にフォーカスした話が多かったと思うのですが、収入面についても触れたいと思います。会社員からフリーランスになったら、当面は収入がかなり厳しくなるとは思うのですが、、、この点についてはあまりこだわり過ぎないほうがいいと思います。
会社員であれば、勤めている間は賃金が上昇しますがだいたい50くらいで頭打ちになって、60以降はだいたい再雇用、65で定年になります。20年後30年後の日本社会がどうなっているかはわかりませんが、だいたいこの流れは変わらないのではないかと思います。頭打ちになる年齢が更に前倒しになる可能性だってあります。
フリーランスの場合ですと、私の周りを見ていましたら、仕事の内容にはよりますが、フリーランスになった当初は苦しいかもしれませんが、スキルと人脈が積み上がっていくのに応じて50になっても60になっても収入も上がっていくように思います。70過ぎるとさすがに体力気力や余生を楽しみたいということもあって下がるとは思いますが。5年10年という幅ではなく、一生涯の収支を考えればフリーランスというのは悪くないと思います。
佐藤@練馬:「資本」といううと一般的には「お金」のことを指すというのが一般的だと思うのですが、この間ある本を読みましたら、それ以外にも「人的資本」と「社会関係資本」という考え方もあるということなんですね。
前者は「自分の仕事のスキル」ですね。会社員というのは会社に行けばある程度のお金が貰えてしまうわけで、一方フリーランスというのは自分のスキルを磨かざるを得ないと思うんですね。そういったものは目に見えない資産だと思います。後者につきましても、フリーランスというのは人間関係が仕事により密着に関わってきますので、真剣に考えざるを得ないと思います。こういったことは、人生100年時代を生き抜く上で非常に大事な要素になると思います。
山形@豊島:私もその通りだと思います。また、フリーランスになるにあたって意識しなければならないことの一つとして、自分に入ってくるお金の意味が違う、ということですね。
例えば、会社員が貰う20万円なり30万円というのは税金や社会保険料や雇用保険料、場合によっては退職金の積み立てが差し引かれたお金で、それをそのまま自分のために使う事ができますが、自営業の人が同じように20万円30万円売り上げを得たとしても、そこから税金や社会保険料や事業のための経費や老後やいざという時のための備えを捻出しなければいけないわけです。
フリーランスとして仕事を受ける時の「値付け」というのは、そういった部分も考慮するべきだと思います。会社員の時とは違うのですから。
フリーランスは、「お金の使い方」をしっかりと考えるべき
細井@吉祥寺:あと、事業で収益を上げるという以外に定期収入を得る手段を考えておいたほうがいいと思います。私は不動産の世界で生きてきたのですが、「不動産投資」というものも選択肢の一つになると思います。
鳥谷@福岡:相談者の方は住宅とかにも興味を持っておられるようなのですが、不動産投資というのは企業経営者とか公務員とか、余裕のある人がやっているものという印象があります。フリーランスの人でも出来るものなのでしょうか?
細井@吉祥寺:選択肢として排除する必要はないと思います。相談者の方は300万円で車の購入を考えておられるとのことですが、例えばそのお金でアパートなり空き家なりを入手して賃貸物件として貸し出すという方法もあります。実際に古民家などを活用して収入源にしている方もおられます。場所によりけりですが、100万くらいで入手して、リフォームや諸費用含めて300万円というのも無くはないです。
小林@福井:地方は人口減少に伴う空き家の増加というのが社会的問題になっていますので、行政も力を入れています。古民家は歴史的建造物ですし。いろいろな形で自治体などから補助がある場合もありますし、クラウドファンディングで民泊を立ち上げるという形でお金を集める人もいます。
フリーランス全般に言えることですが、自分の力と才覚だけで何とかしようと考えるだけではなく、周囲のお金や知恵や共感をうまく活用することも大事だと思います。
佐藤@練馬:時間も残り少なくなってきましたが、、伯耆原さん、いかがでしょうか。
伯耆原@群馬:会社員からフリーランスに転身するというのは、色んなものが大きく変わることになるわけですが、お金については、本当に必要な部分は何か、ということを考え抜いた上で使う必要があると思います。
(完)
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