【要約】第4回トークライブセッション(後編)

子どもが生まれたら、保険はどう見直すべきか

佐藤:では次の課題ですが・・・お子さんがお生まれになられるということで保険に新たに加入しなければいけないということなのですが、保険金額の加入計算根拠について話していきたいと思います。

山形:今は90歳までの定期保険が1本、48歳までの定期保険が1本、それと医療保険にご加入されてますね。これに加えて、ご主人さまが亡くなられた場合の遺族の方の生活費を保障する収入保障保険に関心を持たれてます。

※収入保障保険:一般的な「定期保険」だと、保険期間中(10年の場合が多い。以後は更新となり、更新の度に保険料が上がる)はいつおなくなりになっても一定の金額が出るようになっている。「収入保障保険」だと、月々何万円というう形で保険金が支払われるので、亡くなった時期により保険金総額が違う:加入してすぐに亡くなられた場合と、保険期間終了間際に亡くなられた場合とでは金額が大きく違う。必要な生活費の分だけ保険をかけている形となるので、それだけ月々支払う保険料が安くなる。

小林:世帯主が亡くなられた時の生活費がいくらになるのかという話ですよね。今の生活費が月27万ということですが、ご主人が亡くなられても金額このまま、ということはないですよね。このご夫婦の場合ですと、それに加えて「定期支出」が加わりますので、この金額も算定する必要がありますね。

あと、すでに家を買われておられるので団信に加入しておられると思うのですが、もし加入しておられないのであれば住居費のことも見込んでおく必要がありますよね。

※団信=団体信用生命保険の略。住宅ローンの加入時にセットで義務付けられている場合が多い。(保険料は住宅ローンの金利に上乗せ。)債務者が返済期間中に死亡または高度障害状態になったときなどに、その保険金で住宅ローンの残高が完済され、完済された後は、住宅ローンの返済が不要になり遺族はそのまま住み続けることができる。三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)で所定の状態になった場合でも返済が不要になる特約を付加出来る場合もある。

小林:一方で、例えば必要保障額が月30万円必要だったとしてその分まるまる保険でカバーする必要があるというわけでもなくて、公的年金から遺族補償がありますので:年百数十万円くらいですが、その分は差し引くことができますし、いつお亡くなりになるかにもよりますが、確定拠出年金に加入しておられるようであれば、それまで積み立てたお金を死亡一時金という形で受け取れますので、これも差し引いて考えていいですよね。

もう一つは、奥様もお仕事をされたら収入がありますので、その分もさし引いて保障額を考えていいと思います。

まとめますと、

必要な生活費(教育費)ー (公的年金の遺族保障 + 確定拠出年金の死亡一時金 + 奥様の収入)

ということになるかなと思います。

老後生活に備えるためには・・

細井:今住宅ローンという話が出たと思うのですが、今は70歳完済で住宅ローンを考えておられると思うのですが、一般的には65歳までには完済すべきなんですよね。退職後、65歳から5年間払い続けるのはしんどいですから。

今の収入でしたら退職金もそこそこあるでしょうし、どこかのタイミングで一部繰り上げ返済は出来ると思います。教育資金が発生する前にできるだけ返しておいたほうがいいと思いますね。

小林:因みに退職金は確定拠出年金ということですが、年金払いということになるんでしょうか?

佐藤:確定拠出年金は受け取り方を選べますよね。年金受取り、一時金受け取り、その併用が選べます。

山形:退職金はすべて確定拠出年金からですが、そこまでは考えていらっしゃらないと思います。

佐藤:そうやって老後自分に使えるお金を増やしておけば、自分たちのやりたいことが出来ますよね。

病気・ケガや、働けなくなった場合の備えも必要

小林:あと、医療保険についてもちょっと気になりますね。保障内容についてはあまり詳しくは書かれてませんが・・

10年ごとの更新タイプの医療保険というのが今でも結構残ってるんですよね。今はそれほどではないけど50歳60歳くらいになると保険料がガンガン上がります。それくらいになって終身型の一生涯保険料が変わらない医療保険に切り替えたいという人がかなり多いのですが、保険料は年齢によって決まるので保険料がかなり高くなってしまいます。もし更新型だったら今のうちに終身型に変えたほうがいいです。

あと、がんになっておいたときの保障は別に考えておいたほうがいいです。医療保険というのは基本的に入院と手術に対する保障なんですが、今のがん治療はそのどちらもそんなにはやりません。抗がん剤でがん細胞を抑えていくというのが基本なんですが、これが高額でかつ長期化するので、それに対する保障が必要です。

細井:お子さんのための医療保障って考えておくべきなんでしょうか?

小林:自治体にもよるんですが、多くの自治体では中学生までは医療費無料になってますので。。ただ、がんになった場合には、小児がんというのは長期化する上に地元では治せない場合も多いので、がん保険はすすめておいたほうがいいです。安いプランだと月1000円いきませんので。

細井:実は私、この間救急車で運ばれたんですが・・・(苦笑)、このご夫婦、私くらいの年齢だとお子さんは中学生くらいになってると思うのですが、ご主人が倒れられた時の保障というのはどうでしょうか。

山形:一命はとりとめたけれども働けなくなった・・・・というケースですよね。

小林:先ほど話の出た医療保険・がん保険以外に、就業不能保険というのがあります。働けなくなった時には最初の1年半は収入というか標準報酬月額の3分の2が傷病手当金として出るんですが、減った分の保障をカバーする保険もあります。団信によってはそういう状況をカバーするものもあるので、団信を見直すという手もありますが。

※就業不能保険:病気やケガで働けなくなった場合、最初の一年半は標準報酬月額の3分の2が傷病手当金として支給され、以後は障害者として認定されれば障害年金が出るが、収入が大きく減ることになるので、それを補うための保険。

細井:いざという時の対策も必要ですけど、、、老後資金とか、自分のやりたいことにもお金は必要でしょうし、そのためにNISAとか資産運用で対処するという考え方も出来ますよね。

山形:保険だと何もなければお金は戻ってこないけど、資産を増やしておけば特定の用途以外にもお金を使えますからね。バランスを考えるべきですよね

どう資産運用すればいいのかは、人によって違う

上山:いざという時のための備えは必要で、資産運用でそれに備えておくというのも考え方だとは思うのですが、価格変動するような資産だけでなく、現金でも持っておいたほうがいいと思うのですが。

細井:このご夫婦、資産に対する現金の比率は低めですよね。

佐藤:生活防衛資金という考え方があって、収入の何ヶ月分かは現金で持っておくべきなんですけど、FPによっても考え方が違うんですよね。3ヶ月あればいいという人もいれば半年分、1年分という人もいます。相談者の方とじっくり話すべきだと思います。

上山:投資にかなり振り分けておられるようですけど、暴落した時のことを考えると分散投資したほうがいいと思います。

佐藤:本来ならつみたてNISAで地道に増やすことをお勧めしますね。

山形:つみたてNISAのことを話をしていて、前向きに検討されてます。

※つみたてNISA: 長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度。

https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/overview/index.html

金融商品というのは相場の状況によって価値が上下し、購入したタイミングにより大きく利益が出ることもあれば損をすることもある。しかし同じ金融商品を常に一定の金額で、毎月定期的に購入し続けることにより、価格が低いときの購入量は多く、価格が高いときの購入量は少なくなり、長い目でみれば価格変動のリスクを抑えることができる。(この考え方を「ドルコスト平均法」という)

佐藤:さて、次のテーマですが、、相談者様は自分のためにもお金を使っていきたいということなのですが、この点について皆さんご意見はありますでしょうか。

山形:先程から投資に回している比率が高く、現金の比率が少ない、、今回のケースですとどれくらいが適正なんでしょうか?

小林:ポートフォリオ:資産配分にもよると思うんですよね。例えば新興国の債券とか株とかだとトルコリラの二の舞になりかねませんし、普通に債券と株、株買うにしても地域を分けておけば全部が下落するということはないと思いますので、バランスさえ意識しておけば投資にある程度回してもいいんじゃないかなあとは思います。ロボアドバイザーサービスを使えばそのあたりは自動的にやってくれますよね。その代わり、ものすごい大儲けということはないですが・・・

※ロボアドバイザーサービス

人工知能(AI)が、顧客の運用ニーズやマーケットの状況等に合わせて最適な資産運用をインターネット上で自動的に行う金融サービス。

上山:投資にはリスクがつきものですが、どれくらいリスクを負えるのかというのは人によって違いますよね。

小林:堅実に行けば大きくは増えないし、大きく増やそうと思ったら元本割れすることもある・・・

山形:内容としては、米国株のインデックスファンドなんですよね。今はいい感じです。

※インデックスファンド:日経平均株価やニューヨークダウのような特定の市場指数に連動するように運用されているファンド。インデックスファンドに投資することで、そのインデックスを構成する銘柄群に分散投資することになり、リスクを低く抑える効果が期待できる。また一般的に運用コスト(信託報酬など)が低く設定されている。

小林:アメリカ株って今流行りですけど、これからどうなんですか?FPでもアメリカ株にしか投資しないって人もいますけど・・・

佐藤:資産運用で失敗しない方法として分散投資という考え方があって、株や債券や不動産といった商品を分散させる考え方はよくあるんですけど、意外に皆さん、地域を分散させるという考え方がないんですよね。アメリカはたしかに世界最強の国かもしれませんが、アメリカ株だけというのは、分散投資という観点では・・・

さっきロボアドバイザーサービスの話が出ましたけど、大外れすることはないのと、手間がかからないですよね。質問に答えていけば最適なポートフォリオ組んでくるので、全く的外れな投資をすることはないです。ただ、信託報酬は普通のファンドの倍くらいします。その価値を感じるかどうかですよね。

まとめ

佐藤:そろそろまとめですが、、、このご夫婦、老後の経済は大丈夫そうですが、具体的にどんなことがしたい、できたらいいな!というのを聞いてみたいですね。

細井:人生の目的・・・素直に自分たちは何をやりたいか、というところから入ってもいいんじゃないかと思いますね。

小林:今の高齢者の方を見てますと、お金の問題もあるのかもしれませんけど、老後にどう生活を考えてこなかったがために、日々何をすればいいのかがわからない人が多いような気がしますね。

佐藤:図書館行くと、そういう人が朝からたくさん並んでおられますね。

小林:あとショッピングセンター。

佐藤:あと、お子さん生まれた後の保険の件ですね。まずは世帯主様がお亡くなりになられた後の収入と支出を整理すること。

あとは医療保険の確認と見直し。

あと、投資だけでなく現金である程度持っておくべきだということ。

小林:保険屋によっては「万が一」の時のために保険で十二分に備えるべき、という人もいますが、、、「万が一」を完璧に予測できることなんて出来ないので、現金もある程度持っておくべきだと思います。保険入らず貯金だけで備えるというのは危ないと思いますが。

山形:奥様はツイッターとかでいろいろ情報を集めてきて、必要保障額をどういうふうに出すというのかは計算しておられるみたいなんです。リテラシーの高いご夫婦ですね。ただ、死んだ場合と何もなかった場合の狭間・・・病気になった時にはどう備えるべきか、というのもヒアリングするべきだったと思います。

小林:因みに、ネットの医療情報には非常にデマが多いです。それで何人も死んでます。がんになっても治療しちゃダメだとか。治療しなかったらがんはどんどん進行します。

鳥谷:がん保険ということで質問なのですが、最近割り勘の保険というのがあって、それでがんに備えることができるというんですが、そういう保険ってどうなんでしょうか?

小林:それって「共済」のことですよね。共済を名前を変えてるだけです。共済というのはみんなでお金出して、なにかあった人に保障を支払って、余ったら戻す。合理的なんですけど、65歳過ぎたら・・・

保険に関しては65歳過ぎたらどうでもいいと考えている人が多いんですよね。みんな老後生活のことを心配している割には。因みに日本の医療費の6割は65歳以上です。

佐藤:最後に、自分のやりたいことに対するお金ですが、、、住宅ローンの前倒し返済、現金を多めに持っておく、他になにかありますでしょうか?

細井:あとは、奥様がご出産されてからの活動ですね。無理のない範囲で働くのもいいでしょうし、これだけの収入があるのなら起業したり自営したりするのもありだと思うんですけどね。会社に頼る時代は終わりだと思いますよ。

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