第16回トークライブセッション「教育資金のライフプラン」(後編)

(前編はこちら)https://fptalksession.com/16th_talklive_1/

「奨学金貸与・返還シミュレーション」のサイトで、奨学金の毎月の返還金額が算定できる

https://simulation.sas.jasso.go.jp/simulation/

小林@福井:さて、「奨学金」というと卒業後の返済というか返還の負担が重いという話題がよく出ます。場合によっては奨学金のせいで自己破産したというケースもあります。

貸与型奨学金、特に有利子の「第二種奨学金」は、借りようと思えば月12万円まで借りることが出来ます。もちろん、借りる金額が大きければ大きいほど返還負担も大きくなります。

奨学金を活用する際には、返還金額を早い段階で認識しておき、奨学金の返還をライフプランに織り込んでおくことが必要なのですが日本学生支援機構の「奨学金貸与・返還シミュレーション」で、借りた奨学金の金額に応じた卒業後の返還金額を算定することができるのです。

このケースで計算してみましょう。

この情報を「奨学金貸与・返還シミュレーション」に入力していきます。

このような結果が出ました。

大学4年間で、月5万円の奨学金を借りた場合、

月13,874円を15年間返還することになります。

因みに、貸与型奨学金には

親族の方を連帯保証人・保証人にする「人的保証」と、

保障機関に保証料を支払う「機関保証」があります。

このケースは「機関保証」で、貸与総額2,400,000円のうち保証料が101,712円必要で、保証料を差し引かれた金額2,298,288円が実際の貸与額となります。

ただし、保証料を払っているから支払えなくなった時に保証機関が肩代わりしてくれるという訳ではなく、保証機関が日本学生支援機構に代わって支払督促の手続きを行うということになりますのでご注意ください。

奨学金の返還を早い時期から想定することの重要性

返還額が月13,874円とはいっても、例えば給料が216,000円の場合、こちらの金額がまるまる自分のものになるわけではなく、社会保険料や税金を差し引かれた金額、172,439円の中から奨学金を返還することになりますので、そのことを早い時期から認識しておいたほうがいいと思います。

このことを知らずに高めの家賃のアパートに入居したり、車のローンを組んだりすると後で苦しいことになります。

因みに奨学金の返還が厳しくなった場合には、早い段階で「日本学生支援機構」に相談しましょう。

奨学金の返還を延滞してしまうと、大変なことになってしまう

貸与型奨学金の金利は安めに設定されていますが、延滞すると「延滞利息」になります。

延滞した場合、どのようなことになるのかも知っておきましょう。

「延滞」が続くと、通常の借金と変わらない厳しい措置となります。

因みに、奨学金の負担が重くて自己破産したという報道がよくありますが、世間一般の自己破産の比率に対して、奨学生の方の自己破産比率が高いというわけではありません。

「日本学生支援機構」以外にも奨学金制度がある

ここまでは「日本学生支援機構」の奨学金について話してきましたが、実は進学先の学校とか、各自治体や、民間団体にも奨学金制度があり、返還不要なものも結構あるのです。

こちらのサイトから検索できます。

https://www.jasso.go.jp/shogakukin/dantaiseido/index.html

家族の中でお金の話をしておくことで、大学進学の夢が実現に近づく

鳥谷@福岡:これから大学進学を考える方は、こういった進学についてのお金のことをシミュレーションしておいたほうがいいのでしょうか?

小林@福井:はい、高3の春に各高校で「高等教育の就学支援制度」についてのガイダンスがあるのですが、その前にお金の問題で進学をあきらめる人もいるかもしれませんし、早い時期にこの制度のことを知っておくべきだと思います。

また、この「進学資金シミュレーター」には、進学後の学費や生活費などをシミュレーションする機能もあります。どれくらいお金がかかるのかを知った上で奨学金を活用すべきだと思います。

細井@吉祥寺:「高等教育の就学支援新制度」ですが、親の年収も関係してきますので、親子でお金についての話し合いが必要ですよね。

佐藤@練馬:学校教育でも金銭教育が始まってますが、早い時期から家族の中でお金のことを話しあうことの重要性は高くなっていると思いますね。

細井@吉祥寺:日本学生支援機構以外でも給付型奨学金を運営している団体がたくさんあるということですが、お勧めのところはありますか?

小林@福井:数が多過ぎるので何とも・・・ただ、「親をがんで亡くした人向けの奨学金」とか「親を犯罪被害で亡くした人向けの奨学金」とか、それぞれ特色があるので、自身の状況を鑑みて探してみるのがいいのではないかと思います。

また、進学先の大学の奨学金はチェックしておくべきですね。例えば早稲田大学の「めざせ!都の西北奨学金」などは、かなり対象が広いと思います。

細井@吉祥寺:先日NHKで「出世払い型奨学金」の話をしてましたね。

小林@福井:私の母校で既にやってます。「ヘックス型奨学金」ですね。給付型と貸与型の中間ともいうべきもので、これから増えていくのではないかと思います。

また、奨学金を受給したり借りたりするだけでなく、各大学の寮に入って住居費の負担を軽くするというのも手だと思います。例えば私の母校、関西学院大学の寮は鉄筋コンクリートの個室の寮が月額12,500円です。

https://www.kwansei.ac.jp/campuslife/dormitories/seizen

あと、奨学生の家族の方が家計の見直しをするというのも手です。保険とか携帯電話とか見直すことで支出を月1万円削減できたら、その分仕送りを増やせるわけですし、見直しが早ければそれだけ奨学生の方の負担も減らせます。奨学金だけでなく色々な合わせ技ですね。

細井@吉祥寺:我々ファイナンシャル・プランナーの役割は大きいですね。「家計の見直し」と言ってもなかなか着手するきっかけがないと思うのですが、見直しをすることで自分の子どもの夢の実現に近づけるということを、日々発信していきたいですね。

(完)

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